大鳥涙

エレファント・マンの大鳥涙のレビュー・感想・評価

エレファント・マン(1980年製作の映画)
3.5
未だオブラートで包まれていた頃のリンチ作品。自由、平等、博愛のフランス国旗にみる人徳が、簡単に踏みにじられる世の不条理を描いて素晴らしい。その中で微かに垣間見られる人の優しさが感動的だ。と思ったら大間違いで、リンチ特有の悪夢が表現された作品とみるべきだと思う。手に触れるのも、目に写るのも気持ちが悪い不気味なものを前面に写し、画と音楽は実に美しいブリリアントな悪夢。今作の次にブルー・ベルベットを発表して、その悪夢の表出がいよいよ本格化するのであった。
今思えば公開時に感動したのは何だったんだろう。未だ未だ世間知らずだったのか、純粋だったのか、或いは鈍感だったのか。

平日の夕方、この怪作のリバイバルに、場内のお客様は私1人であった。地方のシネコンも大変である。
大鳥涙

大鳥涙