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エレファント・マンのgnspのレビュー・感想・評価

エレファント・マン(1980年製作の映画)
3.5
人間の醜悪さを最も目にしてきた存在だからこそ、美しいものの尊さを彼は知っている。


「感動ポルノ」への疑念もしっかりと言及している、「しっかりした」作品にちゃんとなっている。

しかしそういった感動作でありつつも、しっかり自分の色も混ぜ合わせているのは流石デヴィッド・リンチ。
導入なんかはもうあからさまにリンチ作品!って感じよ。

そしてこの作品にも、多くのリンチ作品にモチーフとして出てくる「劇場」がある。
実在する人間たちが空想の物語を綴ることで、現実と空想の境界が非常に曖昧になる場所が「劇場」といえる。
生活の中にふと現れる怪異、そしてそれが増幅して呑み込んでいく。
現実→空想へ移行するためのキーファクターである「劇場」を、今作では逆行するために使用していたのはとても面白い。


ある種この作品も、感動性と奇妙さを混ぜ合わせた不思議な感覚の上に立っている作品といえるかも。
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