ハリボ

スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐のハリボのレビュー・感想・評価

5.0
さらば友よ、【2019年81本目】フォースと共に

愛に飢えた男、そして末路。

プリクエル最終章。
アナキンとは、ベイダーとは何か。

誰よりも優しかったアナキン。
悪を許せなかったアナキン。
彼に力を与えてしまったジェダイは正しかったのか。フォースにバランスをもたらすという予言に振り回されてしまったのは、紛れもなくジェダイだ。
一番力を欲していたのはジェダイだ。

ジェダイは孤独に生きる。
修行僧のように。
怒り、憎しみ、恐怖を持たぬように。
無欲に生きることは正しいのか。

アナキンは誰よりも人間的に生きた。
奴隷から解放され、
銀河に平和をもたらす期待に応えようとした。
一人で背負って生きてきた。
だからこそ、誰かに寄り添っていて欲しかった。
アナキンとして、ジェダイとしてもパドメを求めた。愛がなければ、世界を救うことはできないと知っていたから。

そして、愛のつながりが途絶えてしまった時、彼は本当の意味で孤独になった。だからこそ、マスクを被った。真実の目で現実が見えないように。自分を偽った。それでも生きている証が欲しくて。呼吸をする。

ジェダイが目指す孤独、アナキンはベイダーとなってやっと、この孤独を全うできるようになった。皮肉すぎる。シディアスの言う、ジェダイもシスも本質的には変わらないということは的を得ている。ジェダイが生んだ悪の化身、これが修行を完成させたアナキン、つまりベイダーなのだ。

パドメから光の産声が、
アナキンからは闇の呼吸が、
同じくして生まれる。
これは、宇宙を巻き込んだ親と子の宿命と呪いの物語。今、光と闇は生まれた。

そして愛と調和の物語は続く。
1人で平和を作ることはできない。
誰かとのつながりがなければ愛も調和も生まれないからだ。1人で全てを背負った男、それから生まれた2人の子供。つながりは断ち切れない。
そして巡り巡る。いつか、この悲しみが優しさに変わる一筋の希望を信じて。
ハリボ

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