源氏名るみ

パンズ・ラビリンスの源氏名るみのレビュー・感想・評価

パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)
5.0
公開当時からこの映画は私の特別。
好きすぎると言葉にならないのは常。
そのへんはご愛嬌ってことで。
久しぶりに観たので徒然呟く。
「"だから"少女は…」というキャッチコピー、好き。

【躊躇している方も多いそうなのであらすじ】
凄惨で冷酷で目も当てられない戦争下のお話。
ポスター詐欺やらダークファンタジーやら、
釣られてトラウマを抱える人が後をたたない今作…!
虫が駄目な人もアウトだし、グロいし、ばんばん人は死ぬし、ファンタジーのドキドキなんて一切無いむしろ緊張感で心臓がバクバクするし、みんな不幸で救いがない。いわゆる胸糞映画。日本ではPG-12だが子供には禁忌。大人向けの御伽噺、といったところか。

バッチバチの銃声が轟く中、THE独裁者の新しいパパの元へ臨月の瀕死ママと向かう中、御伽噺が好きな少女は妖精と出逢い、ずっと姫君を待っていた…!国へ帰りましょう!父君が幾千年もお待ちです、なんて言われちゃう。さぁこの陰鬱な現実から夢の御伽噺のような世界へ行くには3つの試練を乗り越えねばならぬのだが……

観客の見方によって結末の捉え方も変わる。
私的にはハッピーエンドです。

12歳の年端も行かぬ子が子供である事を恥と指摘される世の中なぞ糞くらえってんだ。御伽噺は恥ずかしいと母から言われるなんて、なんて悲しい世界なの?大人でありなさい、って、何?

それぞれの理想郷を求めていく。
誰もが武器を取る中、少女だけは純真を貫いた。
誰もが夢見ることを諦めたが、少女だけは諦めない。

現実世界で生きることを放棄したくなる時ってあるよね。
辛い世界から自分を護ってくれるのは自分の好きなものたち。
それらを護りたいから、己を鼓舞し、奮い立つ。
この作品を観る度辛くなるし落ち込むし、同時に浄化もされる。憧れる。勇気を貰える。こんな選択もありかもしれない。そんな風に思ってしまう事自体怖いことだけど、弱き者に寄り添う優しい作品だとも思う。なんかこう、支離滅裂だが、強くなれるのです。強くあらねば、と思うのです。

いいじゃないか理想郷を求めたって。
デル・トロは熱い演出をするよな毎度。