ゆーみん

パンズ・ラビリンスのゆーみんのレビュー・感想・評価

パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)
1.9
B級ファンタジー

魔法界の王女の生まれ変わりである少女オフェリアは、3つの試練を乗り越え再び元の世界に戻る。
3つの試練が簡単すぎる、銃撃戦に時間を割きすぎて内容が薄いため、戦争映画にしたいのかファンタジーにしたいのか分からなかった。

以下物語考察。

(1)失われた父親
物語の主要人物には皆父親がいない。
オフェリアは仕立て屋の父を無くしており、再婚先の大佐も父を戦争で無くしている。彼女の父となる人物が全員死ぬのは、魔法界に真の父がいるからである。つまり彼女の代理父が人間界にいてはならない。物語上、父を描かない事で反対に父の存在を大きく感じさせている。

(2)目覚めと眠り
オフェリアが眠っている、もしくは寝ようとしているシーンが何度もある。しかしそれら全てが妨害され結局ベッドから起きだし冒険の旅へと出かけている。唯一眠っているのが、銃に撃たれ迷宮の中で横たわっている時である。

(3)緑と赤
それぞれの世界の象徴として人間界は緑、魔法界は赤が用いられている。冒頭からオフェリアは毎日緑の服を着ている。それと対比するように魔法界では赤い靴を履き赤を基調とした服を身につけている。人間としての死の間際、血にまみれた手と顔は魔法界へと少しづつ近づいていることを暗に示している。

他にも「扉と鍵」や「代理母」など幾つかファンタジーに良く見られる要素はあるが、全体的に伏線が弱く感情移入できないまま終わった。