SHOHEI

続・男はつらいよのSHOHEIのレビュー・感想・評価

続・男はつらいよ(1969年製作の映画)
3.9
故郷柴又でかつての恩師、坪内先生と再会した寅は彼の娘で昔よくいじめていた夏子の変わりように驚き一目惚れする。坪内先生と意気投合し呑んでいた寅だったが胃けいれんを引き起こし入院することに。しかし病院で騒ぎを起こしたり、脱走した先の飲み屋で無銭飲食を行うなどしていたたまれなくなった寅はふたりに別れを告げて旅立つ。それからしばらくして京都でばったり再会した寅と坪内先生、そして夏子は寅を産んだ生き別れの母親が京都にいることを知り、彼女の勤めるホテルを訪ねる。

シリーズ第二作。公開は前作から3ヶ月後とハイペース。寅がマドンナと出会い失恋をするお馴染みの展開はこの時点でフォーマット化。今回は生き別れの母親との再会、そしてそこで生じるある悲しい出来事を絡めた見応えあるストーリー。腹違いの妹さくらが人間的に非常にできた性格である一方、寅さんの母親はどんなのかと想像していたらまさしく想像通りの人物。この親にしてこの子供ありだが「子は親を選べない」という言葉が思い浮かぶ。またマドンナ夏子が寅の知らないところで山崎努演じる二枚目の医者と婚約するという悲劇の連続もあり、いくら暴虐無人な寅さんといえど三枚目男の置かれた悲痛な境遇に感情移入させられる。普段は饒舌なのに好きな人を前にすると急に気が小さくなってしまうキャラクターは恋愛に奥手な日本人男性の性格を端的にあらわしていて、こういう人間の描き方が日本人観客の心理をわし掴む秘訣なんだと再認識。
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