【曼荼羅】
少なくともスコセッシによる宗教映画の中では『最後の誘惑』よりも統率の取れた内容で、違和感なく観れる。チベットの僧侶ダライ・ラマの「信仰と信念に基づいた」半生を丹念に描いた秀作で、はっきり言ってストーリー性は無いに等しい。
脚本を担当したのが『E.T.』『ワイルド・ブラック/少年と黒い馬』のメリッサ・マシスンという点もあり、少年期のダライ・ラマの描写がファンタジックで見やすい。
名手ロジャー・ディーキンズの撮影も素晴らしく、全編モロッコ・ロケ?なのに広大なチベット的な風土を感じさせるサプライズが。毛沢東のソックリさんが登場するシーンで思わず吹いた。外連味のある演出がやはりスコセッシ的。
ベルトルッチの『ラストエンペラー』や『リトル・ブッダ』とは似てるようで似てない、あくまでスコセッシ流の【宗教映画】として傑出している。フィリップ・グラスが手掛けたミニマル・ミュージックも印象に残る。あの坂本龍一とはエライ差である。😅