みおこし

錨を上げてのみおこしのレビュー・感想・評価

錨を上げて(1945年製作の映画)
3.6
いつもの感じのミュージカルかなぁと思ってゆるゆる観始めたら、なんとまさかの2時間越え!驚愕!
ジーン・ケリーのキャリアで唯一のオスカー主演男優賞ノミネート作品。

陽気な水兵クラレンスとジョゼフの2人組は、功績を称えられ4日間の休暇を与えられハリウッドで過ごすことに。わずかな4日間で、2人が巡り会ったのはスーザンという歌手志望の女性であった。

またまた水兵ですかー、とついツッコミを入れたくなっちゃう本作。『踊る大紐育』とは姉妹作品の模様。続編ではなさそう。
しかし、よりスケールは壮大だし、何より舞台がハリウッド!
wikiによるとポツダム宣言の前に作られた映画らしいので、戦時中にこんなに豪華絢爛な映画を作っていたハリウッドを思うとすごいな...。
ストーリーはありきたりといえばありきたりなラブコメディなのですが「絶対ここが最終的にくっつくだろうな」と勝手に推測していたところがくっつかなかったり、意外な展開を見せてくれたので多くは触れません!
ラストシーンは途中から展開が読めちゃうけど、それでもなんだかウルウル(笑)。

シナトラが子守唄を歌うシーンも相当レアですが(笑)やっぱり本作で一番素晴らしかったのは、ジーン・ケリー。彼がなぜ他の『雨に唄えば』でもなく、『巴里のアメリカ人』でもなく本作でオスカーにノミネートされたかがよく分かりました。
有名なトムとジェリーのジェリーと踊るシーンは、恐らく彼が振付たダンスをジェリーに再現させたのだと思いますが、よく相手が見えないのに踊るな...!ととにかくびっくり。
そしてバレエ、アクロバット、ジャズ、タンゴ全ての要素が加わった、ロミオとジュリエットを再現したような妄想の中で繰り広げられるあのダンス。たった1人でひたすら踊っているのに、ジーンだから魅入ってしまいます。今まで彼のダンスが好きでなるべく出演作はたくさん観て来たけれど、個人的にはラストのあの舞いは彼にしか踊れない傑作、ベストだと思ってます。
長回しでひたすら踊り続けた後に、スタントなしで城の上を華麗に飛び交う姿、本当に神業。

ジーンファン必見です!!
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