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セリーヌとジュリーは舟でゆくのあのレビュー・感想・評価

3.9
流石に長過ぎると思いますが、やはりゾーンに入ったらしっかりと面白くなるリヴェットでした。前半の掛け合いをもう少しコンパクトに抑えられなかったのか疑問に思います。

そうは言っても、ただの一軒家の中身を、飴を舐めないと垣間見ることができない異世界としてセリーヌとジュリーの夢の中に再構築することによって、物語的にも空間的にも狭さを全く感じさせない作りになっていたので、割と退屈はしませんでした。

また、ラストに異世界から通常の世界へ、水面をスーっと流れてきた死者たちの怖さは格別でしたし、最後の「猫だけは見ていた」的な演出もベタながらよかったです。

改めて、ヌーヴェルバーグの監督さんたちは、ハリウッドの古典映画なども大量に鑑賞しているからか、単に気を衒うのではなく、低予算で、かつセットや照明の作り込みも抑えながらも、しっかりとエンターテイメントとして楽しめる映画を作るんだということを感じさせられる映画でした。まあそうは言っても合わないものは合いませんが。
あ