萌える闘魂

戦艦くろがね号の萌える闘魂のレビュー・感想・評価

戦艦くろがね号(1926年製作の映画)
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サイレントの海洋活劇大作。これまで夥しい海洋劇が作られてきたがその中でも代表的な一遍。西部劇大作「幌馬車」で名高いクルーズ監督による作品だが海洋劇においてもその実力を十分に発揮した出来映えになっている。勿論CGが無い時代なのでフルスケールとミニチュアを上手く使い分けてバトルシーンを演出しているが、安っぽく見えないのはクルーズ監督の基本的に本物志向による再現に特化した映画哲学によるものと思われる。フルスケールで再現された大型帆船が海洋を航行する場面は壮観である。帆船同士のバトルはミニチュアを巧みに取り入れ劇的効果を狙っている。中でも特筆すべきはトリポリの海岸に聳える要塞と帆船とのバトルシーンであろう。ここでもミニチュアを要所に取り入れているが巨費を掛けて要塞を再現してもいるので数百人のエキストラが要塞に攻め込むシーンなどスペクタクルとしても申し分のない出来映えになっている。そういう意味ではフランク・ロイド監督の200万ドル大作「南海征服」とサイレントの「シーホーク」デミル監督の「海賊」を凌いでいる。