エイプリル

アコークローのエイプリルのネタバレレビュー・内容・結末

アコークロー(2007年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

独特の雰囲気を持っているホラー映画でした。
前半は沖縄での平和な暮らし、後半はその暮らしが死体遺棄から一気に暗いものへと崩壊していくという流れです。前半部分の積み上げがしっかりしていましたので、後半で続々登場人物が不幸になっていく展開がショッキングで良かったです。
冒頭の場面で「幽霊は幻」というメッセージを提示していたので、登場人物が見ている早苗の幽霊も幻なのかと思ったのですが、別にそういうわけではなく、冒頭のシーンが何のためにあったのか分からなかったのが残念でした。
この映画の斬新だと思ったところは、幽霊の方から特に何か加害を加えなくても勝手に人間の側の精神が終わって自傷を始めるというところでした。早苗は「苦しい」というメッセージを伝えるために出現しているのですが、死体を遺棄したというやましい気持ちを持っている登場人物からしてみれば「復讐に来たんだ」と勘違いして勝手に死んでいくという流れは案外ホラー映画の中でも珍しい描写の仕方で、その点は面白かったです。

「繰り返しはギャグの基本」という言葉がありますが、意図はしてないんでしょうがこの映画はそれを体現しています。
まだ生きていた時の早苗が鎌を持ってきた場面で、うっかり主人公の彼が早苗を刺してしまい、その場面でBGMが止まるのですが、その直後に主人公もうっかり刺してしまいまたBGMが止まるという演出があります。いや…流石に2回連続で間違えて刺すなよ!と思ってしまいました。
また、彼が早苗に怯えてカップを叩き割った直後に何故か主人公もカップを叩き割るというシーンがあり、この映画は何か2回連続同じ行動を登場人物に取らせてしまう癖があり、その場面がどんなにシリアスでもシュールな笑いを呼んでしまうというのが大きな難点でした。
ホラー映画初心者にはお勧めできませんが、そこそこ色々見てきた人は新しい発見があって良いかもしれません。
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