エイプリル

ライフのエイプリルのネタバレレビュー・内容・結末

ライフ(2017年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

ぱっと見は普通の宇宙モンスターパニック映画なのですが、奥には「隔離」ということをテーマにした奥深い映画でした。

序盤から主人公がずっと「隔離!隔離!」しか言ってなくて、こいつ隔離しか言えんのかよという気持ちになりながら見てたんですが、これがまさに本作を象徴してるんですよね。
この作品、やることなすこと全部ダメな方向にいってしまうんですが、その原因は「人間による咄嗟の判断」であることが多いです。本当に正しく計画通りに隔離できていればカルビンが放たれることもなかったし、犠牲者はもっと少なくて済んだはずです。ですが「もっと実験したい」「仲間を助けたい」みたいな人間らしさが事前の計画自体をパーにしてしまっていて、隔離が台無しになるという展開がずっと続きます。
多分本作が描きたいのはモンスターパニックではなく、事前に計画したことを最後まで遵守できないことの怖さみたいなところかと思いました。
「仲間を助けるためならルールなんていらない!」っていうのは普通はヒーローらしさとも言えますし、実際序盤は視聴者サイドもそれに賛同できます。ですがこの考え方は作中通して一度も成功することなく、全部余計な惨劇を引き起こしてしまうという展開になるのは筋が通っていて感動しました。

最後の作戦も、「彼女だけは地球に帰してあげたい」という謎の正義感さえなければカルビンを地球に送る羽目にならなかったのに、ここでも余計な判断でせっかくの計画をダメにしてます。
ある意味最後の最後まで登場人物に救いを用意せず、ちゃんと「完璧な隔離計画が人間のその場の判断でダメになってしまう」というテーマを遵守して描いており感心しました。パンデミックの時代に相応しい素晴らしいホラーだと思います。
最後のデイビッドの「開けるな!」の表情の絶望感も凄まじく、最高に気持ちの良い後味の悪さでよかったです。

あと、酸素キャンドルに「酸素…♡」みたいにしがみつくカルビンは正直可愛かったです。
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