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女殺油地獄のABBAッキオのレビュー・感想・評価

女殺油地獄(1992年製作の映画)
3.0
 1992年五社英雄監督。女の業を描き続けた五社監督の最後の作品。油問屋のどら息子(堤)が元締めの一人娘(藤谷)と恋仲になり、勘当されそうになるが息子の乳母(樋口)がかばい、やがて樋口が堤と男女の関係に、という話。五所の演出による樋口、藤谷の表情を見る映画だと思う。女同士の意地、揺れ動く矛盾した感情を描こうとしているのだろう。樋口は妖艶、藤谷も魔性の女を演じて成功している。堤は初主演らしくこなれた演技とは言いがたいが、本作では引き立て役に過ぎない。特に樋口が次第に堤に入れ込み、抜き差しならない思いを抱いてしまう過程に共感するかどうか。近松作とはだいぶ違うようだが、五社監督の遺作として評価すべきだろう。
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