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月曜日のユカのおっとのレビュー・感想・評価

月曜日のユカ(1964年製作の映画)
4.8
めちゃくちゃ大好きな映画
久しぶりにちゃんと見た

新聞の止まった画から動き出すところ、警察のシーンの早口とコマ送り、ダンスのスローモーションとか演出がすごく前衛的。
相手と会話してるはずなのに顔にカメラを固定して長ゼリフを言う演出とか、急に無声映画のようになるシーンとか。
人物の立ち位置もセリフを言われてる側が大きく映ってて、セリフを言う側が映ってなかったり「映画の常識」を反転させた人物の立ち位置が多かった。

いま見てもこんなに新鮮だから昔だともっと衝撃的だったんだろうな。

セリフなしで、音楽だけでクラブで踊るシーンもすごく説得力がある。
いろんなものを詰め込んでごった煮になることなく、全てが意味のある演出として成立してるのが本当にすごい。


「神様の前だから嘘はつかない」のセリフがすごく印象的。
ユカが純粋すぎるが故にお母さんの言葉を間に受けて生きてきてしまった。
「神様の前だから嘘はつけない」が正解だと思うし、神様の前でそんなことしちゃいけないんだけど、ユカの元来の性質がそう考えさせているんだろうな。
お母さんが神様の前で不倫(たぶん)してるところを見てしまったのが人格構成に大きな影響を与えていると思うけど。

また、ユカがキスを拒む理由と、キスを拒む意味が修によって逆転する、そのキスが船長によって奪われることが綺麗に描かれている。
ユカにとっての「愛」を推し量るものが何なのかが「キスを拒む」描写があることでより明確に描かれているように思う。


小難しく考えるともっと色々あるけど、これだけの人格構成とか、撮影技法とか詰め込んでいるのに、全く飽きない手法が本当に素晴らしい。
加賀まりこがかわいいのもすごいけどそれ以上に作品の作りもすごい。

ラストシーンの語らなさなんかはフランス映画っぽくて素敵。
日本人からしたらよくわからない終わり方かもしれないけど。

ただのフランス映画の真似ではない、新しいものを作り上げた作品だと思う。
だいすき。

どういう影響を受けてこの作品を中平康が作ったのかすごく気になった。調べよ。
おっと

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