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女の勲章のJimmyのレビュー・感想・評価

女の勲章(1961年製作の映画)
4.3
この映画の予告編は『虚栄、名声、富、を首にぶらさげる』という宣伝文句。
まさにそうした物語が、大阪弁の早口会話でテンポよく展開していく、大映カラー作品。
舞台は、大阪・六甲・京都・琵琶湖・東京・パリと幅広い。

大庭式子(京マチ子)という良家育ちのお嬢様のまま歳をとって36歳になったファッション・デザイナー。そして、そこにつけこむ「銭」のことしか考えない強欲な八代銀四郎(田宮二郎)。
式子の3人の弟子が、津川倫子(若尾文子)、坪田かつ美(叶順子)、大木富枝(中村玉緒)。

銀四郎は、六甲のホテルで式子と関係を持つが、式子は処女であった。
次は、倫子の部屋で倫子と肉体関係、琵琶湖ドライブでかつ美と関係、その後で処女の富枝とも関係、とあきれるやら、うらやましいやら…

誠意をもって式子と結婚まで考える白石教授(森雅之)、正義感あふれる新聞記者=曽根(船越英二)が脇を固めている。特に、曽根が銀四郎に言う「君は、式子さんの死まで宣伝に利用するなんて」→「君は人間じゃないよ!」は見事。

この作品、山崎豊子の原作を、吉村公三郎監督が映画化したものだが、他の山崎豊子原作の映画化作品と比べてしまうと、若干こじんまりとした印象の映画である。遠くからの遠景ロングショットが無いので、室内劇のような印象になってしまったと思う。その点は残念である。パリでの場面も、パリでのロケする予算が無かったのか、こじんまり。

自分の目当ての若尾文子は、この映画では「グリーンを基調とする洋服」が多かった。
たまにしか映画館上映されないので、観て良かった映画だと思う。

この映画の「予告編」には有る場面なのだが、「本編」ではカットされている『京マチ子、若尾文子、叶順子、中村玉緒の4人が長テーブルに横に並んでいる場面』を本編に入れていれば、“元祖・家族ゲームの食事場面”となり得たと思う。とても惜しい。
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