さすがオーソンウェルズなので映像美。
同じ場面でも、様々な角度から撮っていて、そのカットがどれも美しいのだがすぐに切り替わるので忙しい印象もある。
上から見下ろすようなカットが多く、それが不思議な印象を作っているのかも知れない。
登場人物の目線から、急に上へ切り替わり、観客の目線へ。人間の愚かさを傍観しているような。
水路で戦うシーンが印象的。足元が水に浸かりながらバシャバシャと音を立てて戦う。
波紋と水しぶき、笑いながら上から見物する民衆。戦いが終わると犬が水路を歩き人に駆け寄る。
タルコフスキーのストーカーでこのような場面を観たことがあった。人が水に浸りながら横たわり、そこに犬が寄り添う寂しさ。タルコフスキーは影響を受けたのかな。
建物も美しい。円柱状の柱とアーチ型の天井。ルネサンス建築なのかなあ。この時代の建築について知りたいと思った。
オセロの話は、何故こんなにも怪しい部下を信じて、愛する女性の言葉を信じないのか。嫉妬は人を狂わせるという事かも知れないが、それはお相手への愛ではなく自己愛のようにも思う。
こんなにも思いつめてしまう自分を一番愛しているのだなと感じた。