似太郎

バファロー大隊の似太郎のレビュー・感想・評価

バファロー大隊(1960年製作の映画)
5.0
ジョン・フォード晩年の異色作にして傑作。騎兵隊が活躍する西部劇の衣を借りた一種の法廷劇であり、黒人差別に異議を唱えたサスペンスフルな逸品でもある。

『捜索者』ではジョン・ウェインに従うだけの若僧を演じていたジェフリー・ハンターが、今回は威厳ある曹長を演じている。

たしかに『捜索者』でもインディアン差別に対するアプローチが微妙で、ナタリー・ウッド演じる少女はどう考えても白人なのに、主人公が忌み嫌うインディアンであるという「矛盾」の描写が徹底し切れていない辺りのむず痒さが残っていた。

今回の作品もそんなウディ・ストロード演じる黒人兵士=人殺しという白人目線の単純図式に対する異議申し立てが些か中途半端な印象。ただ、画面の重量感が半端ではなく『捜索者』に匹敵する濃さではある。

黒澤の『羅生門』スタイルの時系列バラバラなスタイルで進行していき、ラストではアッと驚くどんでん返しが待っていた。真犯人のロリコン親父がキモ過ぎる。

どっちにしろ現代アメリカが忘れ去った「責任感ある大人」が、この頃はちゃんと描かれた意味でも貴重な西部劇。一種のディスカッション・ドラマとしても秀逸な作品で、これぞまさしく【男の美学】というやつですよ!
似太郎

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