星野智希

ボーイズ’ン・ザ・フッドの星野智希のネタバレレビュー・内容・結末

ボーイズ’ン・ザ・フッド(1991年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

サウスセントラルで育った黒人監督による半自伝的な作品。
アイスキューブを筆頭に出演陣が若々しくキラキラと輝いて見え、暑い暑いLAの雰囲気がガンガン伝わってくる。

厳格で一本芯を持つ父親を持つ主人公と、片親で更に母からの愛も受けていないと感じながら育ってしまう親友との友情、そしてラストまでの展開が生々しくそして切ない。

最終的に親友の兄弟二人を黒人同士の抗争で失くしてしまった主人公(監督)は、黒人問題のリアル、そしてそれを引き起こしているアメリカ社会の構造に問題提起を投げかけているものと思われる。

黒人を殺しているのは黒人が大半で、黒人に嫌がらせをしてくる警官もまた黒人であり、白人は全面的に脇役としてか登場はしない。

監督としては、それくらい黒人社会というものは閉鎖されており同族間での争いがいかに惨めであり、その争いを少しでも減らすための一助となる映画を撮りたいというのが本作へのモチベーションになったのであると考察される。

主人公(監督)の父親はマッチョでハードボイルドでありながら牧師的な雰囲気もあり、主人公の人生に大きな影響を与えている。

子を持つ親として本作を見た感想は、主人公の父親のような一本芯が通っていてインテリジェンスな受け答えができる父親になりたいと感じさせてくれる作品となった。

若い頃、多少のやんちゃをして来た僕には命を落としていった本作の兄弟(おそらく実在していた監督の親友)の気持ちもよく分かる。復讐とはなんと儚いもので、切なくなる。彼らの冥福を祈りながら今日は眠りたいと思う。
星野智希

星野智希