ここまで価値観が違うとなると、
結婚前から離婚しそうなカップルだな
という印象しか持たない(笑)
ダンスが嫌いな男と好きな女、
雨が好きな男と嫌いな女、
パリが好きな男と嫌いな女。
どう考えても合わない。
真夜中の鐘が鳴ると同時に
タクシーに乗って訪れたのは、
夢にまで見た過去の偉人が生きる時代。
あまりにノスタルジックを愛しすぎる主人公が見た幻想なのか?それとも本当にタイムスリップしてしまったのか?
憧れの偉人たちに遭遇した主人公の表情。
ありえないモノを見たら、人間こういう反応になるよなあ。
夢と思わず、ちゃっかり原稿を持って出かけてしまうところが実に主人公らしい。
もし憧れの人たちと夢のような時間を過ごせたら。
きっと小説家を目指していなくても、その夢の中、情熱に浮かされていつまでも生きていたくなるに違いない。
ため息が出そうな程に美しい世界。
熱く語られる芸術、パーティーを訪れるゲスト、そして彼等の交わす些細な言葉さえ全てが美しい。
個人的にはダリのキャラクターがお気に入りでした。
それにしても、アドリアナに婚約者のピアスをあげようとしてしまう愚かさがギルクオリティ!
本当に馬鹿だなあ、と思うのにそんなところを可愛いと思う女性がいるのもわからなくはないけど(笑)
“今なんてつまらない、退屈よ”
いつの時代もないものねだりは変わらない。
“今ってきっと満たされないモノなんだ
人生はどうしたって
ちょっと満たされないモノだ”
真理に気付き、現実の否認から目を覚ました主人公が少しだけ切なかったけど、すぐにまた新しい女性と恋に落ちるところが芸術家だな、と思った。
首をはねられるであろう探偵には不謹慎だけど笑ってしまった。