このレビューはネタバレを含みます
どの時代の人もどんな人も過去に憧れているあるいは囚われている、というのがこの映画のテーマの一つであるように思います。主人公の黄金時代である1920年代を生きる元ピカソの愛人(アドリアナ)も、アドリアナの黄金時代である1890年代を生きるゴーギャンも、みんな「昔の方が良かった」と言うんです。ここで主人公はどこの時代に戻っても、そこの時代の人々はさらに昔が良かったと言うのだということに気付いたんだと思います。
台詞にもあるように、主人公は過去への憧れという一種の幻想を捨て去り、物書きであることを選びました。はじめは一番過去に縋っていた主人公が過去への憧れを捨て、自身の小説と向き合っていく様がとてもいいなと思いました。