ウディ・アレンの中でもトップクラスの人気作品。たしかに、他のウディ・アレン映画に比べれば圧倒的に観やすい。
21世紀以降増加したヨーロッパを描くウディ・アレン作品群の中の一作。観光映画としての役割も果たしている。
まず、ウディ・アレンの敵・インテリ見せびらかし野郎がわかりやすく嫌な奴。また、これ以前はウディ・アレンが1人で演じてきたキャラクターを今作ではイネスとギルの2人に分担させたような感じがある。
なにより、固有名詞をバンバン使って実在(今作の場合は)「していた」人物を登場させる十八番の演出も冴えている。特にブニュエルに「皆殺しの天使」の設定を教えるところは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のチャック・ベリーのくだりに匹敵する。(ウディ・アレンは「皆殺しの天使」好きすぎ)
すごくわかりやすいし、反復構造のストーリーもちゃんとしているから誰でも楽しめる良い映画だと思うが、近作「サンセバスチャンへようこそ」などに比べるとまとまりすぎていて哀愁の空気感と演出のクセに欠ける。
脚本家としてウェス・アンダーソンと組んだこともあるオーウェン・ウィルソンにめちゃくちゃぴったりの世界観、キャラクターはよかった。