見終わった後、すべてこれでいいと思える
人はないものを羨み、ないものに思いを馳せる。いつの時代の人々も、過ぎた時代に憧れる
誰が言ったのか、本作に明確にでてたのかも定かではないけれど、どんなものも過去になるわけではなく、思い出なんて存在しない。過ぎたすべてが今を生きる人となり、街となり、宇宙のひとつの星のあかりとなる。
何かに情熱をそそぐ覚悟があれば、ただ今を生きるだけでいい。今いる時代、今いる場所にすべてがあるのかもしれない
それでもなお、観る人は、主人公のギルのように20年代のパリを堪能したいと願うだろう。人はそういうものらしい。でも、これでいい。迷って、文句を垂れつつも、いつか訪れる死がわたしたちを永遠に生かし、過去や思い出なんかではなく未来の一部としてくれる
他人のみる夢を味わったみたい。すばらしい映画でした。
エイドリアン・ブロディのダリがお気に入り。