バリバリ島

アダプテーションのバリバリ島のレビュー・感想・評価

アダプテーション(2002年製作の映画)
4.4
『マルコヴィッチの穴』でも描いていた、「才能はあるのに自信が無くてなんかうまいこといかない(なのにプライドや拘りは強い)」人物の物語を、今度は脚本のカウフマン自身の話として描いた作品 
自信がないって自分にとって凄く損だなとつくづく思う、教訓

作中のカウフマンが脚本を何度も書き直すように、試行錯誤している様をそのまま表出したようなストーリー構成で少し複雑 「ドラマが無いと面白くないんだろ」とか「人物に変化がなきゃ映画として意味がないんだろう」と自信なさげな声が聴こえてきそうな感じ 
一応カウフマン自身の(実在する人物の)投影的な作品だからか、ちょっとは前向きな感じで終わったので、良かったようななんか釈然としないような… 終盤の展開とラストはカウフマンがハリウッド映画のあり方に「適応」したって事で良いのかな
ドナルドは「自信があって、たとえ人にバカにされようが自分らしく強く生きていける人間だったら…」というカウフマンの理想というか羨望というか 
  
カウフマン自身を主人公として扱っていながら、現実と創作物を混在させることでノンフィクション的になりすぎないというところが好き 作者の思想や価値観が作者自身の投影としてストレートに映し出されている一方で、創作上のキャラクターとしてのカウフマンもしっかり成り立っているところが良かった