青山

望郷の青山のレビュー・感想・評価

望郷(1937年製作の映画)
3.3

アルジェのカスバの街に潜伏する悪党のペペ。恋人のイネスに匿われて暮らしながらもパリへの望郷の念を募らせていた彼の前に、パリからやってきた美女ギャビーが現れて......。


『陽は昇る』を観たので同じくジャン・ギャバン主演の本作も。
ギャバンがカリスマ的な悪党を演じる作品で、めっちゃイケメンてわけじゃないけど雰囲気があってワイルドな魅力がありつつ粗野ではなく知性も感じさせるあたり『陽は昇る』の普通にいい奴の役よりもハマってる感じがしました。

そんな本作ですが、内容はなんつーかノワールものとメロドラマのどっちつかずな感じがしてしまい、あんまりハマらなかったかな......という感じ。
カスバという蟻の巣みたいな複雑な街のロケーションは最高なんだけど、だからこそもうちょいその地形を活かした活劇なんかを観たかったなぁ、と。冒頭の街の紹介みたいなシークエンス以降そんなに街の様子が映らないのがもったいなく感じてしまいました。
あとこんな狭い街にいるのに警察が全然ペペを捕まえられないのもなんかかったるい気がして......。
また、メロドラマとしても、負けヒロイン役のイネスさんがめっちゃいい人だし正直ヒロインのギャビーより美人(私の好みの問題ですけど)な気がしてなんでこんな人をほっぽってギャビーに靡くのかの説得力が薄い気がして......もちろん、パリから来たギャビーに恋心だけでなくタイトルにある「望郷」の気持ちも抱いたというのは分かるんだけど、にしてもイネスさんが魅力的すぎてな......。

と文句ばっか言いましたが、映画史に残るらしいラストシーンはたしかに印象的で映像としては目に焼き付いたのが良かった......と言いつつ、あの場面でも私はむしろイネスさんに感情移入して主人公のことはどーでもよく感じてしまったってのが正直なところですが......。
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