ちゃみろー

寒い国から帰ったスパイのちゃみろーのレビュー・感想・評価

寒い国から帰ったスパイ(1965年製作の映画)
4.2
ジョン・ル・カレの小説「寒い国から帰ってきたスパイ」の映画版。
全編白黒で東西冷戦時代の諜報戦を描いています。
イギリスの情報部員が主人公なんですが、イギリスのスパイ小説はアンチ007的なシリアス路線の傑作が多く、この作品もその一つですね。この映画と同年にレン・デイトン原作の冴えないスパイ、ハリー・パーマーが主人公の「国際諜報局」も映画化されています。
諜報戦の中で駒として使い捨てられる非情なスパイの世界が展開していくのですが、最後の方で全容を説明するパートがあるのがアメリカ映画らしいと思いました。イギリス映画なら難解なままラストまで引っ張っていったと思います。
ラストの思想も信条も何もよりどころとしない「ただのスパイ」の男の命を賭けた「裏切り」、そして裏切り者には死を、というシリアスさに深い余韻を感じます。
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