冒頭、死にかけてるメイドと、若い美人との結婚を前に浮かれてるいかにも軽薄なプレイボーイが対比されて、なにやらこの二人には一筋縄ではいかない関係があるらしいと匂わせつつマストロヤンニ演ずるドメニコの回想シーンに入っていくのが上手いね。
ソフィア・ローレンが老けて病的な感じから、流石に無理がある17歳設定でドメニコと出会うショートカット、2年後の再開時にすっかり妖艶になった娼婦を次々演じ分ける序盤から惹き込まれる。
一方のマストロヤンニは安定の女好き我儘キャラ。
コメディっぽい前半から一転、後半はフィルメーナの回想から彼女の真相が分かってきて、泥臭い男女関係が怖くなってくる。この明暗のテイストは同じデ・シーカ監督の「ひまわり」に似てる。
全てはフィルメーナの無償の愛から来ていて、ラストがハッピーエンドに見えるんだけど、女にしてやられたようにフィルメーナの後ろでうなだれてるドミニクの姿がなんとも言えない余韻を残す。