平田一

フレイルティー/妄執の平田一のネタバレレビュー・内容・結末

フレイルティー/妄執(2001年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

“禁断のラスト! 覗くとあなたの震えは止まらない!!”


『ツイスター』や『タイタニック』で知られるビル・パクストン(2017年に死去)が、主演も務めた第1回監督作のスリラー映画。“神の手”という殺人鬼を長年追う捜査官に、犯人を知っていると述べる男が現れて…

てっきりボクは『“アイデンティティー”』(ジェームズ・マンゴールド監督)のタイプの話と思っていて、あー、じゃあこういうところに着地かなって構えていたら、何てもうネタバレしにくい映画なんだとお困りです(当然これは誉めてます)。結構これは繰り返し、見たいタイプの映画かも。

生憎詳しいネタバレ等は言ったら台無しなんですが、多方面から分析している映画だなって思いました。心理学のアプローチをひけらかしているわけでもなくて、プロファイリングに沿った見方で話を進めるわけでもない。むしろ主張を信じる方と否定の方を両立させて、主人公らの苦悩や覚悟を映画は成立させています。だから天使のチープさだとか、光景の場面にしても、見えているとか幻覚だってどっちの意見も成立できる。とにかく両方存在できる仕掛けが中々良かったです(スコット・デリクソン監督の映画が好きなので尚更)。

しかもこれらを殊更狂気に呑まれたようなトーンじゃなくて、人間ドラマのトーンでやってるところがさらに良いですね。彼らは平穏な日常を単に送っていただけなのに、正気のままで凄惨な使命を啓示されてしまう。見方によっては悲劇的とも取れるお話だったので、そのあたりも余韻というか、色々考えさせられます。まあジェイソン、ハロウィンみたいなホラーなのかと思ってたので、正直ホラー映画としては物足りないとも考えました。ですがこの内容だったら、あのトーンは納得ですし、じゃなきゃきっとパクストンは監督しないと思います(オレに何が分かるんだw)。

まとめると単純なホラー映画なわけじゃなくって、もっと大きな深みを孕んだスリラータイプの人間ドラマ。だからラストで抜け殻にみたいに彼はなっていたんでしょうし、それも悲劇的だなってこれを書いてて思いました。

そういえばアグリー・ベティって海外ドラマのキャストの一人が、昔自分の母親を惨殺(繰り返し切りつけて、最後に首を切り落として殺害)した事件に対し、自分の母親に憑依していた悪魔を殺害したって言って、何も後悔していないってニュースを思い出した。

それもあってこの映画の不気味さますます増しますね…
平田一

平田一