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落穂拾いのOguのレビュー・感想・評価

落穂拾い(2000年製作の映画)
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渋谷のアニエスベーでゴダールの古いポスター展を見た次の日、神保町でアニエス・ヴァルダの『落穂拾い』を観た。そして漸く落穂拾いの意味を知った。
ヴァルダがカメラを向けた人々には“落穂拾い”をするそれぞれの理由があった。そしてほとんどの人が自らの境遇を嘆いてはいなかった。諦めているか受け入れているかの違いはあるにせよ。中にはそのどちらをも超越した人物もいた。
撮る人間によってはいくらでも重たくなるテーマでありながら、そうならないところにヴァルダの凄味を感じる。
映画の中で彼女自身も“落穂拾い”をしてみたり、会話の中の言葉からヒョイっと場面をジャンプしてみせる映画的跳躍力、そのどちらも実に軽やかだった。
それからレンズを覗く眼差しがなんというかとてもチャーミングなのだ。ヴァルダは好奇心を隠さない。だからこそ、あのエンディングを撮ることができたのだろう。
まったく素晴らしい人間賛歌を観た。
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