落穂拾いの作品情報・感想・評価

落穂拾い2000年製作の映画)

LES GLANEURS ET LA GLANEUSE/The Gleaners and I

製作国:

上映時間:82分

ジャンル:

3.9

「落穂拾い」に投稿された感想・評価

No.941[ゴミ漁り?いえいえ、都会の落穂拾いです] 75点

ミレーの描いた落穂拾いは貧農の苦しみをストレートに表した作品だが、本作品は現代まで受け継がれた”落穂拾い精神”を探りつつ、現代フランスの構図を緩く捉えた快作となっている。

現代まで続く”貧農の落穂拾い”は、実際にジャガイモやカリフラワーなどの非正規品が農場に棄てられ、それを貧しい人々が集めに来る、というミレーの絵そのものである。加えて落穂拾いも種類が増え始め、レストランのオーナーがブドウを拾いに来たり、都会では粗大ごみをアートにしたり、修理して売ったりするなどしている。面白いのは落穂拾いが法律である程度許可されていること。収穫後であれば大丈夫という法律が記載されているのは不思議な国だなぁと。成立したのは1554年だけど。

映像や音楽的にも興味深く、カット割りも超ハイセンス。被写体にガンガンせまるヴァルダもかなり教養のある人物で、発想力に底がない。ただ、何が起こるというわけでもない緩い映画だから、心には響かなかったのが残念。

最新作「顔たち、ところどころ」のヴァルダと本作品のヴァルダはビジュアルがほぼ一緒だけど、一応こっちは18年前というね。作中でも針のない時計を拾ってきて”この時計は私にピッタリだ、時の流れが見えない”と言っているから、我々が彼女の中に時の流れを見出だせないのもある意味正しいのかもしれない。
mamiko

mamikoの感想・評価

-
すてられたものを拾って食べる人たちを切り取ったドキュメンタリ、
長靴で街を歩き、金はあるのに10-15年ゴミだけ食べて暮らしてるサラリーマンウケた。

わたしは長らく潔癖症だったんだけど、本当にいつからか、友人の吸い殻や道に落ちてる物(汚れの少ないゴミ)を平気で触れるようになったんですよね。良い変化だと思ってる。


賞味期限が切れた食べ物は、腐ってなくても捨ててしまう。食中毒にはなりたくない、から不安要因は排除する。不自然なほど綺麗な世の中で汚い物に対する感覚が混乱して、症状として出るのが潔癖症なのかもしれない。な?!

そういう世の中を少しずつ壊していく人たち、
324

324の感想・評価

4.3
作業で切り取るドキュメンタリー。
ドキュメンタリーや撮影という行為も確かに拾っていくもの。
T

Tの感想・評価

3.2
時折幸せなシーン(?)で、子供と離れ離れに暮らしている男性からもらったハートの形のじゃがいもが画面の右上に現れるのが印象的だ。絵画にも題される落穂拾いは、現代においてもゴミ箱漁り、廃棄農作物の持ち帰りによってなんとか生きている人々にとっての大切な生きるすべだ。OwnerとPoorのそれぞれの立場をどのようにバランスを取り、双方が人間らしく、不快感無く生きていくシステムが作れるのかが社会の課題だと思った。意図的に入れ込んだ手から、ヴァルダももう歳だなぁと。
規格外品として畑に投棄される野菜や消費期限が来ていないが捨てられる食品。それらを拾って生活に利用する人々の姿は現代の『落穂拾い』のよう。

ところどころヴァルダのお茶目な考えが挟まってくるのがとにかく可愛い。
Okuraman

Okuramanの感想・評価

4.7
廃棄野菜を生でパクパク食べる男性の生き方が理想 ああなれたらな...地面に落ちたものを食べても病気にならない、じゃがいもと薄いスープだけで生存できる強い体を...
落穂拾い、つまり収穫されなかった作物を拾うことを軸として、農作物は勿論捨てられたゴミも拾って過ごす様々な人物の型にとらわれない暮らしを描いたドキュメンタリー

この作品を観ると人々の逞しさだけでなく、一見映画的でない映像を上手く繋ぎ表現とするアニエス・ヴァルダの想像力の豊かさも垣間見え、自分ももっと想像力を用いて生きていくべきかなと襟を正せられた

BGMとして挿入されるラップにも味があり、そういう点にも愛嬌が感じられる愛すべき作品だ
CHEBUNBUN

CHEBUNBUNの感想・評価

4.5
【洞察力と奇跡に圧倒!】
この前のカンヌ国際映画祭で注目されたアニエス・ヴァルダ。彼女の旧作がアンスティチュフランセで上映されるとのことだったので観てきた。

ドキュメンタリーは撮影者の主張が強くなり過ぎないように、基本的に映し出されるモノに手を出さない。例え、レンズを超えて被写体に迫っても客観性を失わないようにするのが定石となっている。

しかし、アニエス・ヴァルダは全力で被写体に迫る。更には自己愛が強すぎて、自分をも撮って撮って撮りまくる。通常の作品なら、禁じ手もいいところで酷評ものなのだが、何ということか、非常に論理的な作品で面白かった。

というのも、このドキュメンタリーは運に恵まれていた。それ故に、単純な現代の貧困に対する愚痴に留まることなく様々な世界を観せてくれた。

このドキュメンタリーはタイトル通りミレーの油彩画の話です。「落穂拾い」とは貧しい者が、畑などからおこぼれを頂く様子を描いている。1857年に描かれた絵の世界が約1.5世紀後の現代でも続いていることを地方と都市部での「落穂拾い」比較を交え描き出す。法律でも言及され、認められている「落穂拾い」。アニエスはケチになった地主や都市部の人に文句を言いつつも、しっかりと落穂拾い「する側」「される側」、「貧しき落穂拾い」「富める落穂拾い」を均一に描き出す。

そして、面白いことにドキュメンタリーを撮るうちに偉人の曾孫や落穂拾いするミシュラン料理人、珍しい絵画にたどり着く。

アニエス・ヴァルダの語り口の豊かさ、そして洞察力に感情的でありながらも論理的な「落穂拾い」にノックアウトされました。
t

tの感想・評価

4.1
消費社会批判に陥るわけでもなく、現代の「落ち穂拾い」諸相を気の赴くまま切り取るエッセイのような文体が心地よかった。
ヴァルダのシワシワの手がイメージを収集する過程で結局は自分のことに立ち戻って行く。
大量のジャガイモは「マジェスティック」のスイカの山を思い出す。
これだけの情報量を80分そこらに収められる編集のセンス。音楽もことごとく良い。あとサラリーマンなのに10年残飯だけで暮らしてる彼が単純にすごい。
紫色部

紫色部の感想・評価

3.5
2017.6.3 アンスティチュ・フランセ東京

茶目っ気たっぷりな監督の演出や語り口の軽妙さが可愛い。取りこぼされ、取り残された物/モノ/者に向ける視線の確かさにもグッとくる。
>|