似太郎

アバターの似太郎のレビュー・感想・評価

アバター(2009年製作の映画)
4.3
【SF版西部劇】

リアルタイムで劇場で観た作品。アメリカではウケたがイマイチ日本人の好みには合わなかった曰く付きの映画でもある。

ジェームズ・キャメロン版『ポカホンタス』であり『ダンス・ウィズ・ウルブズ』であり将又『もののけ姫』みたいな趣向のバーチャル・リアリティSF。

監督にとって9.11後のアメリカの負の意識が刷り込まれた作品であり、如何にもハリウッドらしいド派手なアクションやメカ、銃撃戦こそあれどどこか陰惨でおセンチなムードがある。キャメロンらしい現代批評性を感じる。

徹底的にアメリカ側の軍人を「悪」として描いている辺りが特徴で、本来タカ派であるキャメロンがなぜか「社会正義」に目覚めた感じがあり所謂ハリウッド王道のストーリーテリングとは異なる印象を受けた。

これはある意味、ジョン・フォードの西部劇『捜索者』を単に宇宙に舞台を変えただけの比喩的な作品かと思われる。其処彼処に伝統的なアメリカ映画のエッセンスがありそこまで悪くないと思う。個人的には…。

ミシェル・ロドリゲスが逞しい女戦士を熱演していてやはりいつものキャメロン節だった。悪役の軍人スティーヴン・ラングも光っており、誰もが楽しめる一級のエンタメSF。
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