坐禅マニアのフリーターの私信

隠された記憶の坐禅マニアのフリーターの私信のネタバレレビュー・内容・結末

隠された記憶(2005年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

たとえば下層階級が如何に抑圧されているか、というテーマで映画を作るとして、多くの人は下層階級の視点から、その立場に立って作るだろう。ぼくはつねづね、それだけではつまらないと思っていて、例えば普通に生きてるサラリーマンとかが彼らと潜在的にどう関係しているか?つまり、隠された暴力を明るみに出すような映画ってないだろうか、と思っていた。ハネケはそういうアプローチでこれを作っていた。そしてそれは非常に難しいことだと思う。

まず、本作はミクロレベルでの暴力とマクロな暴力(アルジェリア抗争)が繋がっている。強い政治性を持ってる。
しかし、この政治性は、よくあるような同情に基づくものではない。虐げられる彼らは、例えば過度に感傷的な左翼が想像するような弱い人間とは全く別のものだ。尊厳を持っていて、正しい言葉を使い、暴力に訴えかけず、強固な倫理観を持っている。一番強い人間だ。弱者のルサンチマンを徹底的に否定することで、強者のただただむごい暴力だけが残る。そう、これは本質的な暴力の映画だ。そして、一番そういう暴力に敏感なのは、やっぱり子供なのだ・・・

しかし周りの学生がエンドロールに入った瞬間わけわかんね〜(爆笑)みたいになってたのは最悪だった。いじめっこはいつまでも学ぶことができない。悲しいかな