猫脳髄

SF/ボディ・スナッチャーの猫脳髄のレビュー・感想・評価

SF/ボディ・スナッチャー(1978年製作の映画)
3.6
原作であるジャック・フィニイ「盗まれた街」は都合4回も映画化されており、本作はドン・シーゲル版(1956)に続く第2作である。「見かけはまったく同じだが、いつの間にか中身が入れ替わっている」というモティーフはかなり使い勝手がよく、時代を投影して共産主義からテロリストの恐怖まで汎用性が非常に高い(※1)。本作のみならず、様ざまな作品で変奏されている。

サンフランシスコの衛生局につとめるドナルド・サザーランドは、同僚のブルック・アダムスから夫が急によそよそしくなったと相談を受ける。精神科医のレナード・ニモイを紹介するが、同時期に、知人のジェフ・ゴールドブラム夫婦が経営するスパで、ゴールドブラムに似た不審な遺体が発見され…という筋書き。

乗っ取りモノの王道だが、本人が眠っている間に植物的な特性のサヤが複製を作り上げる仕掛けになっており、繊維質に塗れた胎児の様子が不気味である。また、複製たちは悲鳴めいた叫び声でコミュニケーションをとるらしく、アダムスが叫ぶ様子が本作のアイコンになっている(※2)。映画化4作品ともラストを改変しているようだが、本作はなかなかのインパクトを残す(サザーランドの顔が元もと怖い)。

あとは珍シーンとして名高い「人面犬」が登場するが、そりゃあれを見たら誰だって悲鳴をあげる。人と飼い犬とを混ぜてコピーしちゃうって、エイリアンの精度管理の低さに心配になってしまう。

※1 使い勝手ゆえに危険である。かつてそれが「黄色人種」「黒人」「ユダヤ人」だった時代がある
※2 赤いブラウスで叫ぶ姿のスティルが知られるが、よくあるスティル・オンリーで、本編では構図も衣装も異なる
猫脳髄

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