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タイムトラベラー/きのうから来た恋人のみのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

核攻撃を受けたと勘違いして地下に潜った発明家一家の空間と、その上に建設されたダイナー(後にバーへ)との対比が面白い。
初めは「古き良きアメリカ」を体現するロックウェルの絵画みたいだったダイナーが、ベトナム戦争後に一気に荒廃してる。
みんなが信心深さや礼儀、思いやりを忘れた現代。
主人公は中流家庭でちゃんと育てられたので、その中だと一際浮いてしまう(「26世紀青年」にも通じる)。
懐古主義になりそうな展開だが、理解があり優しいゲイの友達を出すことでアップデートも忘れない(主人公は「ゲイ」を「陽気」という意味だとずっと思っていた)。
野球カードのところは、日本だったら長嶋茂雄とか王貞治のカードを出してくるようなもので、アメリカ人は大爆笑だったのではないか。
ラストでランディ・ニューマンの「ポリティカル・サイエンス」が流れる。
「アメリカはみんなから嫌われてる、あんなにお金をあげたじゃないか、なんで尊敬してくれないんだ?そうだ、一丁どでかい奴をお見舞いしてやろうか」
風刺で歌われていたのに、最近では字義通りに捉える人が多くなったようだ。これが一般的なアメリカ人の本音なのだろう。アメリカがまたかつての栄光を取り戻す日は来るのだろうか?
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