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リスボン特急のBOBのレビュー・感想・評価

リスボン特急(1972年製作の映画)
3.5
フレンチノワールの巨匠ジャン・ピエール・メルヴィル監督の遺作。

小さな銀行強盗を成功させたシモン率いる強盗団。リスボン特急で麻薬が輸送されるとの情報を掴み、強奪を狙う。彼らを追うのは、シモンの親友である鬼刑事コールマン。

「刑事が人間に抱く感情は、疑いと嘲りだけである。」

フレンチノワールらしい哀愁のある雰囲気や、豪華俳優陣の共演など楽しめはしたが、『いぬ』『サムライ』『仁義』などと比べると、少し物足りなさも感じる。

列車やヘリを使ったダイナミックな動きもあるが、基本的には写実的で、落ち着いた青白いトーン。変装したり、鍵を開けたり、物を隠したりと、一見地味な行動をじっくり丁寧に描く所がフランス映画らしい。突然の強烈なビンタも特徴的。

アラン・ドロンとカトリーヌ・ドヌーヴの共演。美男美女すぎる。煙草咥えて、ピアノを弾くアラン・ドロンの色気が凄い。カトリーヌ・ドヌーヴは出演シーンこそ少ないものの、その存在が作品全体を華やかに。ブロンドの髪が美しい。

アラン・ドロン演じる刑事と、リチャード・クレンナ演じる強盗団の首領の友情をもう少し描いてほしかった。そうすれば、もっと心揺さぶるドラマになったのに。

邦題が的外れ。原題は『警官』。リスボン特急は見せ場の1つではあるけれど、話の中心にはない。

何あの窓が歪みまくったユニークな建物。

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