エンタメSF作品では個人的に最高傑作です。
主演/シュワちゃん×監督/ポール・バーホーベン×原作/フィリップ・K・ディック×脚本/ダン・オバノン&ロナルド・シュゼット他×音楽/ジェリー・ゴールドスミス×特殊造形/ロブ・ボッティン
いやはや、凄いその筋のトップメンバーが結集して作り上げたんですよね。
そもそも映画化不可能と云われていた本作の脚本を非常に気に入ったシュワちゃんが映画会社に映画化の権利を買わせて、監督にバーホーベンを指名し、シュワちゃんの希望通り思索的な物語ではなく、アクション中心のエンタメSFに大きく舵を切ったからこそ、とっても面白い壮大なエンタメSFに仕上がったのです。
シュワちゃんありがとう!
製作費なんて6500万ドルって当時のレートで換算すると約90億円と云う莫大な予算を掛けてるのが、本気度を知ることが出来ます。
本作品の面白さは山ほどありすぎて、とてもじゃありませんが書ききれません。
無理矢理、何点かに絞ると、先ずオープンニングから流れるこの作品にはこの曲しかあり得ない、壮大なテーマ曲〈火星の夢〉、火星と云う一つの星ごと救う稀有壮大な物語、オープニングからエンディングまでノンストップで突っ走るテンポの良さ、大人の遊び心に火をつける数々のガジェット、味気ないCGではない職人たちのプロの仕事を愉しむ特殊造形などなど、まだまだあります。
わざわざ火星をセットで準備し、壮大な規模のミニチュアまで作り上げました。
作中の火星の赤い殺伐とした造形、俯瞰してから山間を走る列車を捉えるカメラワークなどお見事!CGではこの味出せません。
特に私の心をくすぐるのが、追跡装置を器具を鼻の穴からこじいれてつまみとる時のシュワちゃんのえげつない顔。これは、今回火星の大気に触れると窒息し顔が膨れ上がり、目ん玉が飛び出そうになる顔芸の特殊メイクと共に凄くユニークです。
あと、腹話術人形みたいなアナログチックなロボットが運ちゃんのオートタクシー”ジョニー・キャブ”。無賃乗車した時の反撃が凄く面白いんですよね。
火星でもお顔ぱっかんするとシュワちゃんこにゃにゃちわの太っちょおばちゃんのこれまた頭部の最後、ミュータントの異形の者メイク、そしてやっぱりクワトーの造形でしょ。この辺は『物体X』でも大活躍した愛すべき特殊造形の鬼才ロブ・ボッティンの手腕が見事に生かされてます。
そして、やっぱりシャロン・ストーンの魅力♪
お色気だけじゃなく、肉弾戦のアクションでも素晴らしい運動神経を披露し、特にEVホールでのメリーナとの肉弾戦後のシュワちゃんへの媚顔で『氷の微笑』のヒロインを射止めたほど、彼女の本作での輝きは眩しかったです。
我らがM・アイアンサイドも現在の関取みたいに膨れ上がった体型ではなく、とってもスリムな頃で格好よかです。
このメインの俳優さんたちの魅力も本作に多大な貢献してますよね。
と、とにかくエンディングまで怒涛の爆走状態なんですが、この作品の肝はこの物語が現実の世界で起きた事なのか、それともリコール社の偽の記憶なのかどちらでしょう?ですね。
トリビアではバーホーベンはリコール社の偽の記憶で、シュワちゃんは現実で起こったことと回答してるそうですが、まぁ、正直なところ観る者が勝手に決めれば良いのかと。
どちらでも、本作の圧倒的魅力は変わりませんので。
私ですか?私はリコール社の偽の記憶で十分です。だって、家に帰れば絶世の美女の妻が待ってるんですから( ̄Γ ̄)