半兵衛

ボクの女に手を出すなの半兵衛のレビュー・感想・評価

ボクの女に手を出すな(1986年製作の映画)
2.5
不良少女がいつの間にか金持ち息子の家庭教師になり、そしていつの間にか誘拐事件に巻き込まれてもみくちゃにされているうちに何故か解決するというハードボイルドらしい物語が、小泉今日子をフィーチャーしたアイドル映画スタイルと無駄に豪華な役者陣などによって更に滅茶苦茶になり小泉今日子はおろか観客でさえ何が目の前で起こっているのか完全に把握できず最後にようやく事の真実がぼんやり見えて終わるという混乱した作品に。でも冒頭のキャンドルライトで照らされた部屋や横や縦の構図を生かしたカメラアングルなど随所で映像感覚が光っており嫌いにはなれない。

誘拐したのに逃走した子供と小泉今日子をひたすら追跡する犯人・河原崎次郎の怪物的な怖さも印象に残る、7年前『月山』で雪に閉ざされた村でひたすら瞑想していたストイックな青年とはとても同じ役者には思えない。

お笑い要因として呼ばれたブレイク前のウッチャンナンチャンも見所、モンスター河原崎に対して一方的にやられることなく最後まで抵抗してそれどころか彼に一矢報いるという謎の頑張りぶりを披露する。ちなみにこの撮影のとき何故か準備に時間が掛かり、小泉今日子とウンナンの三人がひたすら夜の撮影所で長い時間会話をして過ごしたというエピソードを『HEY!HEY!HEY!』で内村光良が語っていた。

馬鹿で生意気な子供のキャラはいいのだが、あまりにも空気を読めなさすぎてちょっとイラッとさせる。でもラスト、あまりにも唐突な終わりかたに怒りをぶつける彼の姿は観客の気持ちを代弁しているようでちょっと共感する。

名曲『木枯らしに抱かれて』がエンディングに流れるが、ハードボイルドな作品とあまりあっていないかも(ちなみに自分はTHE ALFEEのカバーのほうが好きです)。
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