Grace

ダンサー・イン・ザ・ダークのGraceのレビュー・感想・評価

4.0
この作品を監督したラース・フォン・トリアーが監督した『奇跡の海』を学生時代に観ました。『奇跡の海』を観た時に感じた思いや印象が、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を観て蘇り思い出しました。主人公が不運で救いのない物語が『奇跡の海』と『ダンサー・イン・ザ・ダーク』と似ていると感じました。

チェコからの移民セルマは、シングルマザーで息子と2人でアメリカで暮らし、視力が悪くなる眼の病気と闘いながら、同じ眼の病気になっている息子の手術費用を稼ぐ為、工場で働く毎日を過ごす。セルマが、ある日工場の機械を壊してから、次から次へと残酷で不幸な出来事に見舞われてしまう...。そんなセルマだが、その場にいる皆と歌って踊るミュージカルを妄想したり、歌うことによって唯一の救いで幸せになれる時。
ストーリーと主人公セルマの生き方から、救いのない陰鬱な後味の悪い作品だったけど、セルマが明るいミュージカルを妄想するシーンが所々あったので、あまり陰鬱で暗い作品だとは感じなかった。セルマがミュージカルを妄想したり、歌うシーンが無かったら、この作品は非常に残酷な最悪な映画になっていたと思います。残酷で不幸な暗いストーリーとは反対に、明るいミュージカル・シーンや歌うシーンを所々入れた演出は斬新で良かった。

セルマ役を演じたアイスランドの女性歌手ビョークは、個性的な雰囲気で楽しそうに歌ったり踊ったりする演技が良かった。カトリーヌ・ドヌーヴは、ビョークをサポートする同じ職場のお母さん的存在な同僚の役柄。

手持ちのビデオカメラで撮影されたかのようなカメラワークのシーンは目が疲れました。あまりにも最初から最後まで救いのない不幸な主人公に同情してしまい、涙が出そうになりました。私は観て良かった作品だけど、好き嫌いが分かれそうな作品だと思いました。
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