COZY922

ダンサー・イン・ザ・ダークのCOZY922のレビュー・感想・評価

3.5
つらいけど、全く泣けなかった。人の冷たさ、温かさ、息子への愛、そして納得できない理不尽さから来るやるせなさが、尾を引く映画だった。この映画が描きたかったものはいったい何だったんだろう。自分なりに解釈すると、『何が幸せかは自分自身が決めることだ。』ということかなと思った。

この主人公は、客観的でドライな見方をすると、間違った選択を繰り返し他人の助けを借りようともせず、最後は息子のために死んでいった人。息子の目の治療が人生の目的化してしまっている人にしか見えない。。息子の視力は大事だけれど母親の存在も視力と同様に息子にとってとても大事だと思うのに、両立させることをはなから考えずこれこそがベストな選択だと思い込んでいる姿が悲しい。

はたから見ると早まった判断にしか見えなくとも、これがベストでこれこそが幸せと思っている人を誰も否定はできない。きっとそのあたりがテーマなんでしょう。

しかし、自分の感情のままに正直に書くと、理不尽な展開と時々挿しこまれるミュージカルのシーンが、苛立ちに近いもどかしさともやもや感をあおる。ビルのあまりにひどい仕打ちや裁判のシーンは怒りに震える。

悲惨で絶望的でつらいし、共感はしかねるので2度は見たくないけれど、ビョークの演技力に敬意を表して、3.5点を献上したいと思います。
COZY922

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