matchypotter

スーパーサイズ・ミーのmatchypotterのレビュー・感想・評価

スーパーサイズ・ミー(2004年製作の映画)
3.6
《料理の映画》、Vol.13。

これは“料理”というか、“調理”“飲食業界”の映画か。
ファーストフードの王者、マクドナルドを相手取り、実験テイストのドキュメントタッチに仕上げた映画。

この企画で、少しは食べ物についての社会的なテーマに挑んでも良いかと思って。これもマイルールで良しとする。

“30日間、マクドナルドの製品だけを食べたらどうなるか?”

訴訟大国アメリカで、自分の肥満はマクドナルドに責任がある、と訴えを起こさせるほど、社会現象になったファーストフード業界。

手軽で美味しいハンバーガー。街を歩けばどこにでもあるマクドナルド。最近は少し減ったような気もしないでもないが日本でも外に出れば見かけない日はない黄色い“M”のマーク。

ファーストフード店の製品に秘められたカロリーは破壊的。
でも、みんなが好きで辞められない。だからある。至る所に。

30日間、マックで売られてる製品しか食べてはいけない。
必ず3食食べる。
メニューは全て食べる。
そして、アメリカ特有の超特大“スーパーサイズ”、これを勧められたら断らない。
この間、最低限の歩行を除き運動もしない。

この実験の果てに心身ともにどのような効果が出るのか。
これを観るのは2〜3度目だが、初めて観る時はなかなか興味が湧いて、観終わった時は吐き気がした。

“肥満大国”アメリカで、訴訟にもなる程、その強力な存在感を発揮するマクドナルド。

「だったら食べなきゃ良い」

あくまでこの一言、つまり自己責任で片付く話だが、恐るべき規模の企業の市場戦略により、もはや大人も子供も切っても切れないズブズブの関係ができている、それがファーストフード。

この映画ではその破壊的ルールの実験と共に、ファーストフード店だけではなく、アメリカの食育や政府の利権、システムが“肥満”の一端を担っているのではないか、という背景も描く。

あくまでこれもこれでやや偏った描き方ではあるが、この描き方がなかなか秀逸。
それぞれの分野で主張や警笛を鳴らす権威へのインタビューや解説、図解、挿し絵。

そして、味、価格、流行り、に敏感な市民。

この権威の主張と市民の見てる物差しの違いや温度差も含めて、一体どこですれ違っているのか、はたまたこれは国ぐるみの利権の陰謀か、という演出。

実際にこの実験により、健康そのものだった彼の診断値が日に日に異常値を示し出す。

マクドナルドでなくても偏食してればそうなるという話でもあるが、これを観てると色々考えるキッカケにはなる。

食べるだけ食べさせ、肥えるだけ肥えさせ、運動ではなく化学的なダイエット療法を勧め、仕舞いにはインスリンと胃のバイパス手術。

これが人の体を使った何かの巨大なビジネスの歯車の中にいるような。そんなことが頭によぎる。

多くの専門家や権威の話をテンポよく差し込み、どれかに傾倒していないように見せるためにその辺の街行く市民にも話を聞くスタイル。

この入れ替わり立ち替わりの描き方がドキュメントとしてもエンタメとしてもなかなか興味深く観れる作品。

少なくともファーストフードはいくら美味しくても、安くても、すぐ近くにあっても、体に異常が出るほどたくさん食べる価値はなさそうで、場合によっては死因になり得ると思えてくる作品。

この映画のお披露目の少し後に“スーパーサイズ”はなくなったらしい。因果関係や、如何に。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
TSUTAYA DISCAS運営の映画コミュニティサイト「Discover us」にて同アカウント名でコラムニストをさせて頂くことになりました。
https://community.discas.net/announcements/ib1wyncr43idknqm
別視点で色々映画について書いていこうと思います!ご興味ある方は是非お待ちしております!
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


F:2045
M:16903
matchypotter

matchypotter