けーはち

愛と死をみつめてのけーはちのレビュー・感想・評価

愛と死をみつめて(1964年製作の映画)
3.3
若者の難病・悲恋モノの原点と言える文通の往復書簡集を書籍化したベストセラーの映画化。軟骨肉腫になり顔半分を切っても甲斐なく21歳で死ぬ乙女を吉永小百合が、彼女に恋する青年を浜田光夫が演じる。電話と文通、ほぼ病床で逢瀬、うぶな2人は悲恋と呼ぶには幼くプラトニックすぎるが、それでも「愛してくれるなら一緒に死んで」と弱り果て懇願する彼女に馬鹿だの意気地なしだの強い言葉で叱咤する男の精神性はあまりにも昭和の体育会系。今なら女もブチギレる。それも相手が清純可憐な吉永小百合だからか。果たして観る側も彼女の重病人に明朗に献身する姿や、一転して闘病に悶え苦しむ姿に一喜一憂するのだった。ミヤコ蝶々が当時急速に流行っていた創価学会の話を唐突にするが、映画の中で実在の新興宗教に雑に言及する語り口に時代を感じて面白い。