みかんぼうや

JAWS/ジョーズのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

JAWS/ジョーズ(1975年製作の映画)
3.8
【なぜか避けてきた超有名作を食らうVol.4】
“避けてきた”というよりは、あまりにも有名過ぎて勝手に観た気になり、観たい作品の選択肢にすら入っていなかった本作。ちぃさんさんさんのレビューを見て本作の存在を思い出し、さりさりさんに背中を押していただき、ついに初鑑賞。ただサメに襲われるだけなのにこのハラハラ感、流石です。面白かった!

内容は、これぞスピルバーグ!という分かりやすさとエンタメ性。 “平常”から“異常”へと切り替わる過程の描き方、“見えない、得体の知れない存在への不安と恐怖”の描き方は、彼の長編デビュー作「激突」で既に見られた手腕が見事に生かされており、それがより研ぎ澄まされた表現となっている(“見えない不安と恐怖”は監督は違うが「エイリアン1」にも通ずるところがありますね)。そして、この「ジョーズ」で早くも完成されたかに見えた迫りくる恐怖の演出は、後の「ジュラシックパーク」において、そのCG技術が加わり、パニックエンターテインメントの一つの到達点に達したように思われる。

しかし、個人的には「ジュラシックパーク」よりも、本作のほうにだいぶ面白味を感じた。それは、“サメに襲われる”という恐竜と比べると現実的にあり得る設定と、まさかのラストの展開が大きい。「ジュラシックパーク」はなんだかんだで最終的に平穏無事に終わった感もあり、スピルバーグのエンタメ作品は基本的に小綺麗にまとめられる、と勝手に思い込んでいたので、最後の最後であの展開はいい意味で期待を裏切ってくれた。

「サメに襲われ、そのサメを退治しにいくだけ」という本来誰でも思いつきそうな超単純明快な設定だからこそ、それをこれだけ面白いエンタメ映画に仕上げてしまうスピルバーグの力量が極めてストレートな形で伝わる作品だった。
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