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JAWS/ジョーズのkのレビュー・感想・評価

JAWS/ジョーズ(1975年製作の映画)
4.5
傑作。サメ映画としてだけでなく、映画としての完成度が高いです。当時20代の奴らがこんな映画を撮ったなんて、嫉妬を通り越して信仰の対象になってしまっても仕方ありません。定期的に見返していましたが、最近はクソサメ映画巡礼の旅をしていたので、今回のリハビリ効果は絶大でした。
作品内部の評価はひとまず置いておくとして、本作がもたらした社会的な影響は凄まじいです。何よりも、『サメ映画』というジャンルを作り出してしまっまことがまずあげられるでしょう。今作公開以後、100本に迫るジョーズ・フォロワー映画が誕生し、討ち死にしました。クソサメ映画に苦しめられるか、ジョーズの無い世界を選べと言われたら、多分後者を選びますが、まぁそれはいいでしょう。結局のところ、フォロワーはフォロワーでしかあり得ず、ジョーズはオール・タイム・ベストの地位を失うことはないでしょうね。
また、本作により、サメのイメージが良くも悪くも固定観念として定着することになりました。ごくごく一部を除き、創作物はおろか、時にはドキュメンタリーでさえ、鮫のどう猛性が前面に押し出され、恐怖そのものとして表象されるようになりました。現代の人々は鮫をメディアでよく目にする一方で、海の生態系の中で鮫がいかに重要な役割を果たしているかは全く認知していません。そもそも鮫は生物として謎に満ちており、学術的には大変興味深い対象ですが、サメ学者はアレな人に見られがちなのはジョーズのせいといっても過言ではないでしょう。
映画表現についても、語るべき部分は死ぬほどありますが、冒頭のシーンはあまりにも有名です。サメの主観視点という画期的な発明、そしてサメそのものが画面に登場しないことが、かえってサメの恐ろしさ(サメは不可視な場所から突然やってくる)を引き立てています。しかし、冒頭でサメが登場しないのは、『ブルース』の模型が完成していなかったからで、全くの偶然でああなった、ということを製作陣が後に語っています。
別にジョーズがあるんだから、もうサメ映画はいらないのかも知れませんが、逆にいえば、いくら失敗してもジョーズがいるから大丈夫なんでしょうね。聞いてるか?ケリー?
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