Maoryu002

第十七捕虜収容所のMaoryu002のレビュー・感想・評価

第十七捕虜収容所(1953年製作の映画)
4.0
第二次世界大戦末期、ドイツの第十七捕虜収容所で2人の捕虜が脱走しようとするが待ち伏せしていたドイツ兵に射殺されてしまう。捕虜たちはスパイがることを疑い、収容所内で物品を売買し優遇されているセフトンこそスパイと確信しリンチする。しかし、セフトンは仲間たちを観察し、真のスパイを見つけ出してドイツ軍の鼻を明かそうと画策する。

誰もが聴いたことのある「ジョニーが凱旋するとき」のマーチで幕を開け、「戦争映画は航空隊、潜水艦、ゲリラの話ばかりで辟易する。なぜ戦争捕虜の話がないのか。」というある兵士の語りが続く。
確かに「大脱走」は10年もあとだし、こんな戦争映画は他に観たことがない。

戦争映画というよりもブラックコメディだ。ドイツ軍曹シュルツと捕虜たちの奇妙な関係や、女子棟を覗き近づこうとしたり、妻からの手紙に「私そっくりな子供が家の前に捨てられていた」と書いてあったり、随所に笑いや皮肉、戦争をあざ笑うかような場面が出てくる。

もともとは舞台劇だったというのがよく分かる作りだが、こいうった話の映画化はビリー・ワイルダー監督の得意とするところなので、当然、映画としてもとても面白く、娯楽作品として楽しめる内容になっている。
ただ、このセフトン役でウィリアム・ホールデンがオスカーを獲ったというのはちょっと意外だった。
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