ビリー・ワイルダーはシリアスやコメディなど、ジャンルに関係なく傑作を送り出す印象がある。
その例外に漏れずこの作品もシリアスとコメディの絶妙なバランスが見られる。
第17捕虜収容所に捕らわれているアメリカ兵たち。
何度も脱獄を試みるがことごとく失敗。
敵兵に情報が漏れているのではと感づき、悲観論者のセフトンに疑惑の目が向けられる。
捕虜収容所の走りといわれる映画なだけに、その完成度は見事なもの。
シリアスはもちろんだが、思った以上にコミカルな場面が多い。
もちろんスパイはだれかという点も最後に一気に収束していく演出が取られている。
セフトンを演じるウィリアム・ホールデンがクールと抜け目なさを見せつける。
スパイといえばのピーター・グレイヴス。後にスパイ大作戦に出演するとは夢にも思わなかっただろうな。