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安藤組外伝 人斬り舎弟のbluetokyoのレビュー・感想・評価

安藤組外伝 人斬り舎弟(1974年製作の映画)
3.0
実録もののある意味、極北といったところか。なにせ、ほんまもののやくざ、安藤昇さんが主演、というより原案を作成しているので、ものほんなわけである。とはいえ、ドキュメンタリーというわけではなく、そういう売り文句ということである。

簡単にあらすじ。
といっても、実録ものにはあまりストーリーはない。戦後の渋谷は、混沌としていて、悪の組織もこれといって中心的な組織はなかった。そんななか、安藤昇がのし上がっていこうというわけである。

警察に捕まっていた日向謙を舎弟にしたりして、組織は拡大していく。

しばらくして、闇物資を横流ししてた人斬りジムから、闇物資を横取りすると、日向の舎弟が報復を受けた。そこで、日向は、人斬りジムを襲撃した。そのおかげで日向は刑務所送りとなった。

しばらくして、安藤組に野田進一が舎弟に加わり、安藤組はますます大きくなった。

拡大していくと当然、ほかの組織と衝突するようになる。南部組とぶつかるようになった。そこで南部組の組長だか幹部だかを拉致して、引き回しめちゃくちゃに暴行した。

その報復として、安藤組の事務所に南部組がダイナマイトをもって大挙してやってきた。あわやというところで、日向が帰ってきて、暴れ回って、南部組を追い返した。

野田は野田道場を作って、安藤組の若手を教育するのだった。ますます、安藤組は大きくなり、カネまわりもよくなってきた。

ところが、日向は、カネのことに関しては、まったく、無頓着で、ほかの幹部にたかるだけだった。そのことが面白くないので、さらに、暴れ回るのだった。

若手たちは、日向に会うたびに、殴られていたので、野田に、これじゃあ、たまらないっすよ、と苦境を訴えた。

しかたがなく、野田は日向を殺すことにした。だが、日向は撃たれたのに、しぶとく回復し、野田と日向の激突は避けられそうになかった。

安藤が、幹部全員を呼び出して、衝突を避けさせようとしたが、仲違いは収まりそうもなく、勝手にしろ、ということになった。

そこで、野田と日向は決闘することになった。ところが、日向は、わざと、決闘の時間に現れず、なんとなしに仲直りとなった。

そんなことをやっているうちに、安藤組はどんどん拡大し、ついには、警察の標的となった。以前は、警察官が来ても、賄賂を握らせば、それでよかったが、標的になってしまうと、そんなことは通じなくなった。

幹部は次々と逮捕され、日向も野田も逮捕され、最後に、安藤も逮捕された。

日向だけ、刑期が短かったので、先にシャバに出た。安藤組を再興させようとしたが、殺された、のかな?

まさに盛者必衰の物語である。日向は菅原文太さんだが、あまり狂的な感じはせず、うまくいっていないかもしれない。
仁義なき戦いの大友勝利と似た造形だが、大友勝利は千葉真一さんの演じている。大友勝利の場合も暴力的なのだが、他方で、恐怖も常に感じている。つまり、暴力と恐怖が隣り合わせなのである。だから、印象深い造形となっているのだ。日向にはそれがない。
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