えいこ

蜘蛛巣城のえいこのレビュー・感想・評価

蜘蛛巣城(1957年製作の映画)
4.2
風の吹き荒ぶ荒野、霧の立ちこめる森の光景と音楽の効果で、序盤から不穏な空気感。三船敏郎と千秋実、志村喬はいつもの安定感なのだが、物の怪あたりからかなりのおどろおどろしさ。能の謡や囃子がさらに幽玄の世界を演出して、室内の芝居は舞台を観ているよう。

山田五十鈴の進言あたりから、これは「マクベス」なのだと気づく。予言に心が囚われて疑心暗鬼になっていく三船の演技は流石の迫力。マクベス夫人の山田五十鈴も鬼気迫る演技と立居振舞い。また音楽が引き立てる。終盤の軍兵の迫力と水墨画のような森の美しさ。矢の降り注ぐシーンの三船の表情は凄い。「乱」や「影武者」に連なる演出。圧倒される。
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