Omizu

母たちの村のOmizuのレビュー・感想・評価

母たちの村(2004年製作の映画)
3.7
【第57回カンヌ映画祭 ある視点部門グランプリ・エキュメニカル審査員賞】
アフリカで行われているという女性器切除に関する作品。カンヌで受賞し、全米映画批評家協会賞外国語映画賞を受賞、ヨーロッパ映画賞非ヨーロッパ映画賞にもノミネートされるなど世界的に高い評価を得た。

原題の「Moolaade」は「保護」というまじないを指す。具体的には割礼を逃れてきた少女たちを匿うために家の門に紐をくくりつけ、割礼を行う者たちを立ち入れなくする。

慣習として田舎の村に残ってしまっている女性器切除、そして女性蔑視を描いている。かといって男性をひとまとめに悪者としても描いてない。

正直映画としてはあまり洗練されておらず、説明的なセリフや拙い演技、ワンパターンな音楽の使い方は気になった。特に演技についてはおそらくみんながみんなプロではないから仕方ないんだと思うが、演技してます感がありすぎる。

ただやはりイメージとして鮮烈なシーンもあって、割礼をする女性たちが子供の目からは恐ろしい見た目に見えるとか、コレのセックスシーンと子供が抵抗しながら割礼されるのをカットバックでみせるとかなかなかショッキングでよかった。

また男性も都会に出て成功している村長の息子はこれからの村を変えていく存在として期待させる。また傭兵と呼ばれる商人の男も可哀想な目に合うが、村長の息子と同じく外の世界を見てきた者だからこその視点を持っている。そしてぐっと来たのはコレの夫、兄に強制されて泣きながら鞭打つシーンは『それでも夜は明ける』でルピタ・ニョンゴを鞭打つ白人男に通じる「こうするしかない男」の弱さを感じた。

最期はまあ現実的ではない、コレが村八分にされて割礼が続くのが現実な気はするけど、「こうならなければならない」という監督のメッセージでもありこれはこれでアリだと思う。
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