コーヒーマメ

生きるべきか死ぬべきかのコーヒーマメのレビュー・感想・評価

生きるべきか死ぬべきか(1942年製作の映画)
3.9
ナチス政権全盛期に作られたコメディで、小津安二郎も参考にしたといわれる巨匠ルビッチの代表作。
ナチス政権を真っ向から批判して描いているわけじゃないが、明らかに風刺的に作られていて、ナチスの敬礼を立派なギャグとして昇華するあたり、その肝っ玉の大きさに脱帽した。

最近、松潤がCMで朗読している「To be or not to be(生きるべきか死ぬべきか)」という『ハムレット』の一説が、物語の重要な鍵であり、この一セリフで始まり、終わる。
映画冒頭のつかみから抜群で、そのまま最後まで笑いの種を散りばめまくり、これ以外あり得ないとさえ思わせられる鮮やかなラストシーンまで、あらよあらよとテンポよく展開し、一息もつかせてくれなかった。

社会風刺の効いた上品なコメディ。
同じくナチス政権下を舞台とした、チャップリンの『独裁者』と比較して観るのも面白いかもしれない。