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新しき土のchiyoのレビュー・感想・評価

新しき土(1937年製作の映画)
3.0
2015/4/26
撮影当時16歳だった原節子が、ただただ初々しい。特に、婚約者・輝雄の帰国を知った時のはしゃぎようが、あまりに可愛くてお気に入り。ただ、映画そのものは、ドイツに日本という国を紹介する、プロパガンダ的な意味合いが強め。が、日本の風土や文化をこれ見よがしに描いてはいるものの、富士山と厳島神社と大仏が近くにあったり、東京に阪神電車の看板があったり、位置関係が見事にバラバラ。でも逆にそれが面白い(笑)。さらに後半からは、ファンク監督が山岳映画監督なこともあって、噴煙を上げる山を登る描写が異様に長い。ここでも、着物と草履でそんなに易々と火傷ひとつなく登れるものなのか、と素朴な疑問が。全体的に突っ込みどころが満載だけれど、当時の日本の方向性や政治的背景を考えると、なかなか興味深いと思える1本。タイトル「新しき土」は満州国のことを指していて、ラストで耕している土地がまさにそれ。
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