Uえい

ラ・ピラートのUえいのレビュー・感想・評価

ラ・ピラート(1984年製作の映画)
3.5
ドワイヨン映画を見ているぞ!という感覚にどっぷり浸かった。ある夫婦と妻の恋人の女性という三角関係を中心に、感情そのままをストレートにヒステリックにぶつけ合う様を見せつけられた。

アルマ(ジェーン・バーキン)は夫(バーキンの兄)と暮らしていた。そんな最中、アルマが愛した女性キャロル(「カルメンという名の女」のマルーシュカ・デートメルス)が二人の居場所を見つけて尋ねてくる。ある人の心がわかる不思議な女の子のお陰で居所がわかったのだった。

キャロルはアルマを近くのホテルに呼び出し、愛し合う。そして夫を呼びつけて泥沼の大喧嘩が始まり、アルマはホテルを飛び出してしまう。そして船に乗る。夫とキャロル、そして女の子とボクサー顔の友人ナンバー5も合わせて五角関係とも言える複雑な人間関係が展開し、ある悲劇にもつれこむのだった。

これぞ愛のむき出しと言えるような無加工の愛憎がそのまま描かれていて凄い。見ていても辛くなる。しかも、妻が女性に浮気するという展開が公開された84年としては新しかったのかも知れない。しかも夫婦をバーキン兄妹が演じるというインモラルな要素もあった。

その三角関係を取り巻く、女の子とナンバー5も良いエッセンスになっていた。女の子もアルマに惚れていき、ナンバー5も元々一方的な恋心を抱いていて、全員がアルマの愛を求めるようになるのはゾンビの様相になっていて笑えてくる。もうこれはあの結末でしか終わらなかっただろうと妙な納得感のある終わり方だった。
Uえい

Uえい